第一回 食道発声の達人



私の日常の中の代用音声

  西松 敏夫(S18生)

H13.3 単純喉摘


 手術をして7年と6ヶ月になります。私は食道発声、笛式人工喉頭、電動式人工喉頭の三種類を使って生活をしております。この三種類の代用音声をどのように習得したかをお話致します。
 まず私は食道発声の練習を始め、約6ヶ月で習得することができました。続いて笛式は1ヶ月で習得し、電動式は1、2回教室に出て説明を聞き、後は自分で練習して習得致しました。
 さて、この3つの代用音声の使い分けをお話致します。まず、家庭の中など日常生活では、食道発声で十分間に合っております。しかし、大きな声で正確な発声が必要であり、相手の言うことに言い返す必要があるというような交渉の場合などには、笛を使っております。具体的には、役所への届出、申請や何か物を買うときのやりとりなどです。
 ただ、ある時、病院で笛を使っていて、看護師さんにやかましがられたことがあります。笛は、種類によって音の大小がありますので、状況によっては、笛の種類を選んで使います。
 童謡や歌謡曲、演歌などの歌は、食道発声か笛で歌いますが、演歌は、何故か私には、食道発声の方が歌いやすいです。
 以上のように、私はこの三種の代用音声の使用の経験を積み重ねて、それぞれの特徴を生かし、お話致しましたように使い分けており、ともに支障なく生活をしております。