会話へのプロセスーPARTⅢ
食道発声の究極の目的であります、“健常時と変わらぬ会話”に向かって、効果的な練習法は何か?又成果に近道はないのか?等々色々と模索し続けて居りますが、行き着く所、
“同じ事を千回くり返せば、どんなことでも、その事の熟練者になれる!”との言葉通りで、工夫しながら、練習を続ける事だけが、成果を上げる事になります。
そもそも食道発声は、身体の部位に、本来は備わっていない機能の働きをしてもらい、第二の声をつくっている訳です。当然の様に、練習に手抜き等すれば、上達の近道どころか、いっぺんに声質が悪くなってしまいます!
一旦“声”を失った我々が、さらなる向上を目指し、自らの声で、世間の皆様と、よりスムーズな会話が出来る様に,練習している風景を、今日は見てください!
※教室では、先ず、全体でのウォーミングアップを致します。首まわりのストレッチ・深呼吸・
基本発声・音階の発声等を行い、その後各テーブルの練習に入ります。
基本練習
単音発声:“ア行~ワ行”の50音を、一人ずつ順番に1行ずつ発声し、後の人が復唱します。
2~3サイクル行えば、100~150回の発声をする事になります。
※大きく口を開け、一音一音をはっきりとしっかり意識して発声する事で、明瞭度を上げる
効果を期待しております。
連音発声: ア、ア、ア・イ、イ、イ・ウ、ウ、ウ・・・といった感じに3連または5連発声を、単音発声同様に全員で行います。
※息継ぎを自然に覚える効果を期待しております。勿論3連、5連、10連・・と練習する事で、より効果は期待出来ると思います。
長音発声:テーブルでは、長音と単音を複合させて、“アッ”と強い単音発声後すぐに
“ア ~ ”と長音発声する練習を行なっています。又その逆でも大丈夫です。
※長音は発声を滑らかにするばかりでなく、リズム良く言葉を繋げる効果があります。
長音の後に、息継ぎをして、強く単音を発声する事により、次の発声の為の吸引が自然と行える。
吸引の雑音や発声前に口をモグ・パクさせる癖の方は、長音の練習を多く行う事により、
“癖”解消の足掛かりになる事もあります。
発声の強弱:アッ、アッ、アッ、アッ、ア、ア、ア~(太字は強く)7音節迄又、
アッ⤴アッ⤴アッ⤴と3段階の発声で、その都度、強く発声する練習も行っています。
※此の練習は、発声時の強調する所に強弱を付けると同時に、言葉に幅を持たせる効果が、
あると思います。
連音発声と長音発声の連動:アッ、アッ、アッ、アッ、ア~、ア~、ア~
イッ、イッ、イッ、イッ、イ~、イ~、イ~・・・7音節迄
※此の練習は発声時の抑揚、滑らかさを出す時に繋がる練習と思います。
私のテーブルでは、この様に基本練習を約30分かけて実施しております。この練習を、毎回
続ける事により、言葉の明瞭度を取り入れ、自然に息継ぎが出来る様になって行くと思います。
会話、対話力をつける為の練習
先ず相手に自分の言葉を伝えなければなりません。
しかし、中々最初は、力が入ったり、健常者だった頃の癖で早口になり易いです。
ゆっくり、間を取り、滑らかに、抑揚と強弱を付ける。これが、会話をする為に、
我々食道発声者の必須条件となります。そこに到達するためには、練習しかありません。
それでは実際に、会話練習を行って行きたいと思います。
※道で近所の人とバッタリ出会った時の会話
(先ず、一本調子で)
Aさん「おはようございます。いい天気ですネ。どちらか、おでかけですか。」
Bさん「はい、天気もいいので、ウオーキングしようと、公園まで行ってきます。」
(次に、抑揚、間を取って)
Aさん「おはようございます。いい天気ですネ。どちらか?おでかけですか?」
Bさん「はい!天気もいいので!ウオーキングしようと、公園まで!行ってきます。」
Aさん「じゃ~お気を付けて!」
Bさん「ありがとう!ございます。」
※居酒屋に行った時の会話。(実際は店内が騒々しく中々食道発声では大変と思いますが?)
客役「あいてますか?」 店役「ハイ!いらっしゃい!どうぞ」
客役「まず、生ビールください!」 店役「ハイ!!生ビール一丁!!」
店役「ご注文お伺いします」 客役「エーと、枝豆、冷奴、刺身盛り合わせ」
店役「以上で、よろしいですか。」 客役「取り敢えず、それでお願いします。」
店役「ハイ!ありがとうございます。」
教室ではこの様に色々なシミュレーションを作りながら練習を行っております。
せっかく発声が出来る様になったのですから、積極的に自分から相手と対話を求めて行く
姿勢も大切と思います。
巧く行かなかった部分を顧みながら練習し、繰り返し挑戦続ける事が大切と思います。
“あせらず”“あわてず”“あきらめず”を合言葉に頑張りましょう!